<朝日> ◇領土問題は「長期的に」 ロシア大統領が書面回答◇
9月3日から5日までの初の日本公式訪問を前に、ロシアのプー
チン大統領は31日、日ロ関係をめぐる朝日新聞社の質問に対し、
書面で回答を寄せた。この中で大統領は、「2000年までに平和
条約を締結するよう全力を尽くす」とした1997年のクラスノヤ
ルスク合意実現の重要性を認め、それに沿って交渉を続ける意向を
表明した。領土問題については、両国の関係強化の中で双方が受け
入れ可能な国境線画定の解決策を見いだせるとの立場から、長期的
なアプローチが必要との認識を示した。
今年末に平和条約締結の努力目標の期限が迫ったクラスノヤルス
ク合意について、大統領は「合意実現の重要性は言われなくても承
知している」と言明。「平和条約交渉は当然、継続する」と述べ、
日本側が求める年内いっぱいの交渉を含め前向きに応じる構えを見
せた。
大統領はまた、領土問題は「両国を分断させるものではなく、結
びつけるものとして見る方が生産的だ」と指摘。領土問題での「空
回り」がこれまで達成された成果を壊してはならないとの認識で双
方は一致しているとし、日ロ関係全般の強化発展の中で長期的に打
開を図りたいとの考えを示した。
さらに、南クリル諸島(北方領土)への元島民らによる自由訪問
や、北方領土周辺で日本の漁船に操業を認める「安全操業」などを
挙げ、こうした「ダイナミックで多面的な日ロ関係」が進展すれば、
双方が受け入れ可能な国境線画定に至るのは可能と述べたが、一方
では領土問題の早期解決は困難との見方をにじませた。
また、国際的な分野での日ロ両国の協力拡大に期待を表明。日本の国連安保理常任理事国入りを支持する一方、
弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約について、「この条約の順守が戦略攻撃兵器の削減と密接に結びついて
いる点を日本が理解することを期待している」と述べ、米国が導入をめざす米本土ミサイル防衛(NMD)計画
に対する日本の姿勢をけん制した。
ロシア側は98年11月、モスクワを訪問した小渕恵三前首相に対し、領土問題を切り離して中間条約的なも
のを結ぶ提案をした。プーチン大統領はこの提案には言及せず、領土問題解決を求める日本側と正面から交渉し
ていく新政権の基本的立場を明確にした。
大統領は3日午後、ロシア極東サハリン州から日本に入る。 (2000. 9. 1)
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