- 一、 会食の節は大口を開き又大口に食品を充満ならしむべからず。
- 二、 大声を発し又左右前後を見回すべからず。
- 三、 食品を噛(か)むに口を開き又馬の秣(まぐさ)を噛むが如き音をさすべからず。
- 四、 食品を噛みながら談話すべからず。
- 五、 倉卒に食うべからず。
- 六、 食品大なりとて無理に口中に銜(ふく)むべからず。
- 七、 歯牙の間に肉類等の篏(はさま)りしとて指を口中に入れて捜(さぐ)るべからず。
- 八、 食残しの肉類等みちらしたるまゝに再び皿に入るべからず。
- 九、 包丁(ナイフ)叉手(フォーク)等を舐(なめ)るは見苦しきことなり、決して之を為すべからず。
- 十、 牛酪(バター)は己が欲する程一度に取りて皿の脇に置き幾度も取るべからず。
- 十一、羹汁(スープ)は左の手を皿の縁にかけ右の手に匙(スプーン)を持ち掬(すく)いて吸うべし、
又匙より吸うに匙の横より吸い必ず手を前に出し匙の尖を口中に向けて吸うべからず
- 十二、食品の中(うち)汁のあるものにして其汁を吸わんとするときは皿に口をつけず
又匙を用いず必ず麺麭(パン)に浸して食すべし。
- 十三、漫(みだり)に食品を賞(ほ)むべからず。
- 十四、牛酪を取るに己の包丁にて取るべからず、是は牛酪を取るべきもの
あることなればそれにて取るべし。
- 十五、食品の中彼是と好みだてすべからず、又己の好まぬものなりとて言葉に発すべからず。
- 十六、身体は正しくして不行跡の事あるべからず。
- 十七、漫(みだり)に起居すべからず。
- 十八、欠伸(あくび)などするは失敬なり。
- 十九、卓子(テーブル)の下に脚を伸ばして対客の脚に触るゝことあるべからず。
「新撰和洋料理精通」(明治三十四年刊)より
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